2019年4月28日29日 晴れ
29日午後から曇り 蓬峠に天泊して、周囲の稜線を歩き、春山をのんびり満喫しようと思ったが、思い通りにはならないのが春山。
蓬新道の渡渉点。トラロープが渡してあるが、岸は雪の壁で降りるも登るも大変そうでしかも水量が多い
ピーク手前にトラバース道を見つけて辿ると、廃道なのか藪がうるさい
蓬峠に幕営
林道の除雪はほぼ終わっていたが、明け方近くまで降り続いた雪が上部では20cm以上積もっていて、春山とは思えないまばゆい白銀の世界だった。渡渉点では水量が多くて側壁が高く重荷では這い上がれそうもないので、谷上流のブリッジを見つけ藪漕ぎで尾根の端に乗るが、蜜藪を避けるため、やせて落ちかけて斜面に引っかかっているような雪庇の肩を通過して背に乗る。その先は2月と変わらない眺め。灌木を縫って緩急のある広い雪原を上り詰めると山頂部が黒々とした大源太山が現れる。この稜の雪の下には謙信ゆかりの道が通っている。その稜を東に辿ると行く手の山腹にトラバース道が見えた。楽をしようと1544mピークのわずか手前でトラバース道に入ると、遠目ではわからなかった笹と灌木の藪がうるさくて、たまらず笹斜面を上に逃げると稜上には夏道が出ていてがっくり。疲れたので予定の武能岳往復は取りやめとして小屋の周囲でのんびり過ごすことにした。
蓬峠には誰もいないので小屋に泊まろうと思っていたが、3時過ぎに4人パーティーが小屋に入ったので、静寂を求めテントを張り雪のブロック積を楽しんだ。夕方から予想外の東風が吹き荒れたがブロック積が役に立たない。朝の眺めを期待して唯一積まなかった東側からの風だったのだ。飛ばないとは思ったがテントのはためく音がうるさいので、つぶして雪ブロックを載せて小屋避難した。
翌日当初は大源太山を空身で往復し、往路を戻るつもりだったが、いろいろ考えた結果茂倉新道から下ることにした。蓬峠から茂倉岳の稜線は美しく、いつ来ても静かで和む場所だ。春のザラメ雪を快適に歩くつもりで来てみれば、思わぬ雪に苦労をさせられた。雪解けの増水した沢、そこにかかる危なげなブリッジ、落ちかけた雪庇、腐った新雪、笹薮漕ぎ、など。しかし終わってみればそれがかえって春山らしく満足だった。
茂倉新道の下部には石楠花の蕾が膨らんでいた。たくさんのイワウチワが満開で、もう少しするとシラネアオイが咲く花の尾根になる。