新緑のこもれび

日和田山や奥武蔵、時に遠い山をあるいた足跡

剱岳源次郎尾根と立山三山

剣沢小屋テント場に二泊して源次郎尾根と立山に行ってきた。

1日目:室堂から剣沢小屋 室堂平、

お花畑の向こうに一ノ越の稜線と別山 IMG_7557.JPG

みくりが池と立山の峰 IMG_7560.JPG

雷鳥沢キャンプ場 IMG_7564.JPG

トウヤクリンドウ IMG_7569.JPG

2日目:源次郎尾根

今朝3時までの豪雨が嘘のよう IMG_7574.JPG

剣沢を下る P8035629.JPG

2つの岩場を超えて木くぐり P8035637.JPG

岩稜にでる(トップ) P8035638.JPG

見下ろせば雪渓が遠くなった(タフな奈良の新メンバーさん) P8035639.JPG

岩が乾いてフリクションが心地よい P8035641.JPG

Ⅱ峰の懸垂 P8035645.JPG

ガレ場を制し45年ぶりの剣頂上、しかも眺望は初めて P8035654.JPG

剱山荘付近のチングルマの花は盛り、やっと戻ってきた。 P8035666.JPG

3日目:立山を超え室堂に下山

剣沢小屋のキャンプ場(中央台地上) IMG_7586.JPG

別山から立山の稜線 IMG_7594.JPG

源次郎尾根見納め IMG_7595.JPG

真砂岳は稜線の一部のよう IMG_7597.JPG

稜線には好きなイワキキョウがたくさん咲いている IMG_7602.JPG

室堂平一望 IMG_7603.JPG

休憩所と大汝山の山頂(岩の頂点に立ちたい方々が大行列) IMG_7605.JPG

立山山頂の立山神社には宮司が詰めていた IMG_7607.JPG

ログとコースタイム 源次郎ログ.jpg 2019年8月2日晴れ、夜雷雨

室堂ターミナル(10:00)―別山乗越(13:50)-剣沢キャンプ場(15:00)

2019年8月3日晴れ

剣沢キャンプ場(5:10)-源次郎尾根取り付き(6:30/7:10)-Ⅰ峰(10:50)-Ⅱ峰(11:30)-剱岳山頂(13:10/13:50)-剣沢キャンプ場(16:50)

019年8月4日晴れ

剣沢キャンプ場(6:00)-別山(7:50)-真砂岳(8:40)-大汝山(10:00/10:20)-雄山(10:40/11:00)一ノ越(11:30)―室堂ターミナル(12:10)

1日目

扇沢着7:30で無料駐車場は満車、有料の第三駐車場(24時間1000円)も残り10台ほど。 切符売り場や乗り場は混雑なし。8:30の電気バス(今年から扇沢側のトロリーバスは廃止)に乗車し、順調に乗り継いで9:55に室堂平に到着。

新室堂乗越経由で別山乗越を超えるとすぐにそびえたつ剣とその懐に緩く弧を描き切れ落ちてゆく雄大な谷のパノラマが広がった。少し下ると間近に目指す剣沢キャンプ場のテント村が近いことに安心。テント場は広いと聞いたが涸沢ほどではなく、わずかに空いている場所は傾斜地などあまり快適ではなさそうな場所だった。さらに外国語がうるさくなさそうな場所を選んでテントを張る。テント場には管理棟があり受付をしてくれる。トイレと水場の説明を聞き、1人1泊500円、計2千円の幕営料金を支払う。キャンプ場の水は豊富だが、飲料には煮沸してくださいとの事。剣沢小屋へはさらに10分位の下りがあり、疲れた身には登り返しがきついが、ビールと飲料水を求めて往復した。

その晩は暗くなるころからぽつぽつと雨粒が落ちだし、夜間はひどい雨になった。テントを撤収したときにわかったことだが、グランドシートとテント本体の床シート間に砂がたくさん詰まっており、水が流れたことが分かるが、テント内に水の侵入はなく快適だった。テントは新調のモンベルステラリッジ4型。

2日目

雷雨は昨晩から強弱を繰り返し降り続き、起床予定の3時を過ぎても止む気配がなかった。諦めかけてうとうとし4時に目を覚ますと雨音はなく、外を見れば良い天気になりそうな気配。急いで支度をして出発する。眼下に遠く雪渓を下る登山者がすでに数パーティー。かなり下って、夏道から雪渓に下りるとすぐに平蔵谷の大岩が見える。源次郎尾根はその岩の対岸だ。

私たちを含め3パーティー、男1・女2の3人組がまず取り付き、次に我々、後から男3人組の順で急な草付を登る。すぐに最初の関門の岩に先行パーティーがザイルを出しているので待機。2m位の高さの岩のV溝状を登るが濡れて水がしたたり落ちていて、ホールドスタンスが遠く滑って苦労していた。結局トップが空身で登り、ザックを回収しながらかなり時間をかけて越えていった。次は我々の番だが時間がかかりそうなので、手慣れて早そうな男3人組に先を譲る。数メートルのダイニーマの平紐をロープ代わりに使い、カムを駆使して手慣れた動作で越えていった。

装備貧弱な我々はショルダーで越えて、お助け縄で引っ張り上げてもらう作戦で何とか超える。松などの太い枝をくぐり、草付の急な踏み跡をあえぎながら登ると第二の岩場。男女混合パーティーの3人目が格闘中。男3人組が追い越していったようだ。しばしの待機でわがトップが取り付くが良いスタンス・ホールドなく、やむなく中央に打ってある高いハーケンに背伸びしてヌンチャクをかけ、A0で乗り越した。セカンドの私はちょっと遊んで登ってみたが足が滑ってテンション・・かと思ったが、ビレイのトラブルで3mほど落ち、取り付きより下がった左のチムニー内に落下。奈落の底の淵で引っかかる。這い上がってみると後続がいて、お恥ずかしいところを目撃されてしまった。照れ隠しに後続パーティーを確認すると、すぐ後ろに単独者、その後ろが老齢の方と若い女の人のパーティーで、老齢の方がおっしゃるには「こんな岩場があったかな、昔何度もこの尾根を上ったり下ったりしたが覚えがない」とのこと(このパーティーは私の墜落をみて引き返したらしいと単独の方から後で聞いた)。

草付の踏み跡を辿り、容易ではあるが急な岩場を過ぎて、ルンゼルートの上に出る。さらに草のまばらな広いフェース状でルートを探し、左の笹際、凹角とすぎる。このフェースのルートファインディングで先行パーティーが行き詰まっている間に、一足先に見晴らしの良い稜に出る。もうすっかり乾いてフリクションに不安がなくなり快適。

小ピークを超えるとⅠ峰到着。大きく下って登り返しいくつかの小ピークから岩稜に抜け、Ⅱ峰を超えて平坦な岩稜を少し進むと懸垂支点に到着。先頭パーティーがちょうどロープを回収にかかった時だった。下から立ち去るのを待って60mロープを下ろし、順に懸垂に入る。ロープの余りからすると28m位か。下部3m位が斜めの岩棚になっていてクライムダウンが可能とおもわれる。懸垂途中にハーケンが何本か見受けられた。

その後はガレ場の踏み跡を辿り苦しい登り。一部這松帯に踏み跡が消えているかのような部分があるが、行ってみれば這松に隠れた細い踏み跡が続いている。Z上のガラ場を過ぎ、門のようなコルを目指せば、すぐ先が剣岳の頂上だった。

45年前に早月尾根から登った時以来、頂からの眺望は今回が初だが、水蒸気が多いぼやけた景色にさしたる感慨はわかなかった。それでも初めて眺める黒部側からの唐松岳五竜岳鹿島槍ヶ岳が新鮮だった。記念撮影後長い下りを何とかこなし、ヘロヘロになって剱山荘にたどり着く。落ちた岩場から、後続の単独行者(奈良の方)と歩調が合い行動を共にした即席3人パーティーを解散し、奈良の方とお別れした。奈良の方は昨日私たちより1時間早く室堂に入り、平蔵谷から剣本峰を往復し、今日源次郎尾根に取り付いたのだそうだ。心身ともタフだ。短時間でそんなにお話はできなかったが、ルートファインディングであれこれと意見しあいながらの楽しい登攀だった。小屋に入る彼を見送りしばし休憩する。ここから天場は見えているが、乾ききったのどに水とコーラを流しこむ。人心地が着いてから、ほぼ水平道を通り剣沢小屋に寄り、飲料水と缶ビールを購入してテントに戻った。なお、剱山荘には生ビールがあったが、疲れすぎていて、動けなくなることを警戒し、ぐっと我慢した。

3日目

昨晩は星空で雨もなかったので、早いパーティーは2時ごろからバーナーを焚いていた。暑いのはこりごりだったので3時に起きて早出を予定した。剣方向を見上げればすでに前剣付近までヘッドランプの帯ができていた。食事を作り、体力回復のためがっちり食べたら出発が遅れ、当初の予定通り6時になってしまった。

別山目指しての一登りは、上に行くほど急になり足の疲労感がピークに差し掛かる。幸い稜上に出ると風が吹いていて心地よく、オーバーヒートすることなく徐々にペースを取り戻し南峰に着く。空身で高い方の北方にも寄るつもりだったが、体力と時間を考えて割愛した。この判断が下山時間を大きく有利にしたことを後で知る。真砂岳のアップダウンをこなし富士の折立は混んだピークに行かずに通過、大汝の休憩所で大休止し空身でピークに登ると一番高い岩の、人が一人立てる場所に行列ができていた。横を過ぎようとすると「並んでます」とのご注意が飛ぶが、もともと興味はないので無視して列を割って休憩所に戻る。

ここから雄山はすぐだった。小屋の前が小学生でごった返してはいたが、雄山神社にお参りへ。500円で木戸をくぐり祠前に行くとなんと小さな祠に神主様が鎮座しており、前に詰めて座るよう促され、太鼓の音に続き祝詞が唱えられ、大麻(おおぬさ)でバサッ・バサッとお祓いを受け、立山の由来をお聞きして、皆で参拝し、お神酒をいただく。3003mでのお祓いは大変ありがたかった。

今まさに出発しようとしている小学生の隙間をすりぬけて下り始めると、すでに20人ほどの小学生の列がつながっていたので、ゆっくり我慢の下山となる。幸い人気の雄山だけあって、登りと下りが分かれていてすれ違いはない。小学生が小休止の間に前に出て、やっぱりごった返す一ノ越。ここから先はコンクリートで固められた広く緩い下りの道が、途中2か所の雪渓を横切って室堂駅まで続いている。立山三山を縦走したわけだが、本当に一番高い場所まで登ったのはお祓いを受けた雄山のみという結果だった。