2020年4月10日 の事
それは唐突に、何の予告もなく落ちていた。真っ白な雪の上にあった事から、ここ数日に、もしかしたら昨日落ちたものかも知れない。なぜなら、朝までこの辺りは天候が悪かったからだ。武蔵野の雑木林かと思われるほどだだっ広い尾根に比べると、ごくわずかな幅の自分が進むトレースの延長線上に、たった1本の角が落ちていた。欲深いので、もう1本落ちていないかと視界の隅まで目を凝らしたが、他には何も落ちていなかった。こういうものを飾る趣味はないが、もしかしたらアプザイレンの支点に使えるかもしれないと思い、ザックの背中にピッケルと並んでつけた。幸いザイルの出番はなく、そうかといって捨てるのもなんだか惜しい気がして持ち帰った。
それがこれ。(他に誰もいないのに慌てて拾ったので、落ちていた写真は無し)
帰宅後調べると結構記事があり、鹿の角の茶色と白のまだら模様の、茶色い部分は汚れであることを知る。汚れはもともと鹿の角を包んでいる袋状の皮膚で、角の完成とともに敗れて角がむき出しになるのだそうだが、その袋の内側の皮膚のようなものがついているのだそうで、匂いもあるしべたつく感じもする。そこできれいに洗うことにした。
クレンザーと歯ブラシでこすってみたものの、効果なし
ホームセンターで真鍮ブラシを買ってきてこすってみると効果あり、だが溝の中まで白くならない
以前、サンゴで箸置きを作ろうと、台所用漂白剤で白くした事を思い出した。多分同じカルシウムなのだからと。やってみたがさほど変わらない。
同じアルカリ洗剤のカビキラーでもやってみたが、これもさほど効果なし。
漂白剤につけ置いたら、少し白くなったような気もするが、他の部分に若干黒ずみのような模様が出てきたので水洗いし、ダメもとで洗濯洗剤で洗ってみると、やっぱり効果なし。それでも真鍮ブラシで半日こすった結果がこれ。
これだけ汚れが落ちた。汚れは落ちたが鹿角の模様も薄くなって迫力がなくなった。
かなり匂いも取れたようなので、今日はこれでおしまにして、汚れが皮脂のようなものだから、アルコールと綿棒で時間をかけて綺麗にして、へこんだところに色を付けなおそうかと思ったが、あいにくコロナのためアルコールが入手困難、この作業は後日としよう。
ネットで調べると、先端をペンダントにしたり、太い部分をナイフの柄にしたり、輪切りにして釣り針を作ったりしている。釣り針は、鹿の角で作った釣り針で魚を釣る競技まであるようだ。
金運も上がるようだ。
家人に自慢すると、なにやら変わった形の棒を拾って宝物にする子供のようだといわれ、我に返る。もともとこのようなものを飾る趣味は無い。 はずだったけど。
春にシカの角を拾うツアーもあるようだ。
このシカはおそらく3歳(枝分かれが3つ)。大きいのは4歳で、一つ枝が増えただけで貫録が違う。来年あそこに行けば、1年成長した奴の鹿の角が、また落ちているのではないか。拾ってみたい、拾っては見たいが、拾ってどうするかはよくわからないけど。