新緑のこもれび

日和田山や奥武蔵、時に遠い山をあるいた足跡

大雲取谷六間谷と唐松谷林道

2019年10月11日 晴れ

大雲取谷を水流に沿って詰め上げた(六間谷)。下山路の唐松谷沿いの道をのんびり渓谷散歩のはずが、なかなかスリリングな登山道だった

入渓点は二軒小屋尾根と大ダワ林道分岐の尾根から大ダワ林道を少し下った木橋の先で、谷斜面がなだらかになったところ 01PA106069.JPG

小滝をいくつか超えると左から小雲取谷が小滝で出会う。小雲取谷は2010年に遡行しているのでここまでは2度目だが覚えていない。その時は天祖山コースを下りたが、今日は一部不明瞭の注意看板があった PA106089小雲出合.JPG

1250m付近の滝、右のバンドから滝に取り付き、中央を突破するのだが、出口に流木が横たわって胸の高さでせり出しているためホールドが遠く、水も手前に落ちてきてずぶぬれ、滑る木に足が決まらず凍えとの闘いに勝利 PA106100_1250m.JPG

腰まで浸かって釜から取り付く。どうせ濡れているので PA106107_1330m.JPG

この谷では最大の8m滝は水流左が階段状、多少滑るが容易 PA106121_8m.JPG

六間谷出合。水流は1:1、今回は谷が長く雲取山山頂に近い左の六間谷に進む。通常は大ダワに詰め上げるので右、すぐ日向窪が入るので左に進む。大ダワ林道に上がれば藪漕ぎなし。(登山詳細図には「六券谷」と表記されている) PA106131六間谷出会.JPG

六間谷は小滝が続くが倒木も多くやや不快 PA106142.JPG

六間谷最大の滝、身長×3倍なので5m位。遠目簡単そうだが結構水量多く、左壁のうす被り、滝右のチムニー状はどちらも中間付近でファイト一発が不発、何とかクライムダウン。ずぶぬれ覚悟で中央を探るとなんとか中段へ、出口に手間取り再び凍える思いで滝上に。今回の核心部 PA106148.JPG

小滝、倒木、枯滝、岩溝を辿って藪に突入。背丈ほどの笹をかき分け、ひょっこり巻き道に出た。しかし今回は谷筋に拘ったのであえて再び藪に突入。背丈ほどの蜜藪にかくれた倒木は最強だ。苦戦の末登山道に。ずいぶん長いと感じたが記録を振り返ればたったの20分だった PA106175.JPG

稜線に抜け出ると視界の正面に富士。沢装備解除してしばし休憩 PA106176.JPG

右を見れば雲取避難小屋、くたびれたので今日は割愛 PA106178.JPG

建替え資金工面できず今年3月に閉めた雲取奥多摩小屋がひっそり。 PA106194.JPG

七ツ石山から雲取山PA106201.JPG

ブナ坂に戻って踏み跡程度の唐松谷林道を下る。 PA106213.JPG

唐松谷林道は必要最小限の整備がしてある。唐松谷の左岸道は急斜面を切り崩して作られている。斜面が少しずつ崩れて道幅が狭くなっているところもあって慎重さが要求される。日原林道から富田新道に入る道標が11月までの林道工事の工事区間内にあったので、朝は見逃していた。 PA106222.JPG

八丁橋5:25-入渓点7:00/7:20-六間谷出会9:30-藪突入11:14-登山道11:35-七つ石山13:00-ブナ坂13:18-林道14:50-八丁橋15:40  PA大雲取谷ログ.jpg 大雲取谷遡行は通常大ダワに詰め上げて二軒小屋尾根を下る。今回は青岩谷で見かけたキシャヤスデが他の場所にも出現しているか興味があり、前回発生情報の多かった雲取奥多摩小屋、七つ石山周辺を確認するための下山コース、落ち葉や倒木をどけてみても全く、1匹もいなかった。

唐松谷林道は利用者が少ないためか、枯れ葉に覆われた道で気持ちが良かった。急峻な尾根の斜面に無理やり作られたような道で、山側も谷側もとても急な砂利状の斜面となっている。枝沢を横切る部分では土砂の押出などがあり道幅20cm位と狭く、谷側に傾いているような場所もある。道以外に歩けそうな場所がないのでわかりやすいが、日原林道に下る場合、富田新道合流手前のジグザグに切られた場所の急な折り返し点は注意しないと、直進して道を外す危険がある。所々新しい橋があるので誰かが手入れしてくれているのだろうが、こちら側の登山道利用者は林道歩きが長いこともあって減少傾向と思われる。事実、日原林道からの登山道はこの天祖山コース、富田新道、唐松谷林道(登山道であって林道とは違うが)の3本だが、奥多摩ハイキング気分で入ってしまうとちょっと危険かもしれない。それだけに人も少なく、整備され過ぎていず、適度な緊張感を味わえるエリアとなりつつあり、個人的には好ましく感じている。

小屋の廃業や登山道維持困難が今後ますます増えるのではないか。超人気コースは人が押し寄せ天場も午前に埋まるような異常事態。一方万人受けしないエリアは小屋も道も必要以上にすたれてしまう。川で釣りをする際は鑑札という入場料を取るのだから、登山者からも「登山鑑札」で集金すればよいのにとも思う。遠野の河童ぶちだって、河童捕獲許可証を販売しているではないか。