2013年7月4日
氷河湖と橋。
クレバスを確認しながら進むガイドのロドリーゴ
7月4日C1の設営 キャンプ予定地は氷河の上流、アルテソンラフの裾なので、眼下の氷河を渡る必要がある。ルートはおおよそ予想できる。氷河はモレーンキャンプより100mほど低いので、一端氷河に下る必要があるが、氷河側は崖になっている。ロドリーゴから指示された踏み跡があるような崖を下る。非情に急で脆く本日の核心部となった。
崖下は巨岩累々、しばらく岩を拾って進むと薄い踏み後に出る。辿ってゆけば氷河湖から始まる川に出る。木の橋がかかっている。橋の下流はすぐにアルテソンコーチャに注ぐ大滝の落ち口となっている。川の始まる湖面は凍っている。橋を渡り適当な斜面から氷河に降りる。
アイゼンをつけアンザイレンする。クレバスを避けながら注意深く進む。氷床は固く仮に一方がクレバスに落ちた場合アイゼンで踏ん張るほか手がかりが無く、ピッケルを支点にするために打ち込むことも出来そうもない。
三分の二ほど進んだ頃、突然足元が崩れてあっという間に胸まで水に浸かっていた。幸い縁の氷が厚くすぐに上がることができたが下半身がずぶ濡れだ。だが思い直せば水があってよかったのだ。足がつかないほど深かったからだ。
思ったほど寒くないのはモンベルの下着が優秀だったからかもしれない。荷があるのでC1予定地に急いだ。後から来たロドリーゴ、サカリアス、マックスと合流し傾斜を増した雪の斜面を登り、クレバスを避けたやや平坦地をピッケルで削ってC1を設営した。
ドリーゴ、サカリアスを残して軽くなったザックを担ぎモレーンキャンプに戻った。例の崖は私たちが降りた地点から50mほど左に行けばちゃんとした道がついていて苦労なく通過できた。
テントに戻る頃には下着は乾いていた。靴と靴下がびしょぬれだ。靴は明後日のアタックまでに乾かす必要がある。濡れた靴下はマルキルの水筒にお湯をもらい靴下を履かして乾かした。靴は紙で水分を良くふき取り、抱いて寝るしかない。幸いこの晩は窮屈だったが比較的暖かく寝ることが出来た。さあ明日はアタック装備を持ってC1入りだ。気がかりはC1がある辺りが嵐の中であることと靴の乾き具合だけだった。