新緑のこもれび

日和田山や奥武蔵、時に遠い山をあるいた足跡

キシャヤスデ大発生 ?

2019年9月21日

19日の青岩谷を遡行した際に二股から上の1400m付近の水中に、2cm~3cm位の白っぽい芋虫のようなものがたくさん沈んでいた。よく見るとたくさん足が生えていて「ヤスデ」と思われた。さらに進むと、水のよどんだところや、朽ちた倒木にたくさん死骸が散乱していた。不思議なことに生きているものには出会わなかった。三条の湯の小屋の人には飲み物を購入する際にお話ししたが、帰宅後気になってネット検索をすると、日本固有種の「キシャヤスデ」であることと、年1回脱皮して7年間で成虫になる事がかかれていた(長野県林業センター1999年に大発生)。成虫が8年目に現れるそうなので、1999年を起点にすると食い違い違いがあるし、山の記録では2012年の記録が多いので、1年早いことになるが、とにかくたくさんの死骸が水中に有った。それは水が消える直前まで数は少ないが見かけることができたので、水が補給できなくなった。枝沢の水であっても広域で発生していれば同じことなので、沢の水は一切当てにできなかった。あまり気持ちの良いものでは無いので写真を撮らなかったことが悔やまれる。実際にヤスデであることは間違いないと思うが、キシャヤスデであるかは正確には同定できない。ご興味のある方は「長野県林業総合センタ- ミニ技術情報 №18 平 成 11年 11月 NOV.1999 」をご覧ください。年内もう一回このエリアに入りたいと思っているのだが。

9/22追記:気になって調べてみたら、8年周期の予想がネットの記録から大部分当たっている

 秩父・多摩地区  1980年に発生(当たり、記録あり)⇒次回予想 2020年

 大菩薩 2012年に発生(当たり、記録あり)⇒次回予想 2020年

 美ヶ原では    2015年に発生(当たり、記録あり)⇒次回予想 2023年

 八ヶ岳周辺    2016年に発生(当たり、記録あり)⇒次回予想 2024年

 中部山岳地帯   2017年に発生(当たり、記録あり)⇒次回予想 2025年(記録は乗鞍岳

生息標高については八ヶ岳霧ヶ峰周辺で標高1,050~1,810mの調査結果がある(森林総合研究所所報№14・2002-5)

1年早い別のグループなのか、それとも気候変動で一部が1年間違えたのか知りたいところだ。いずれにしても実績から計算されたそれぞれのエリアへの当たり年の山行は注意をしたいと考えている。何しろ沢の水を使う気にならないのだから。とはいうものの、同じ数以上の幼虫?が山の中に存在するのだから、いつ利用しても同じなのだろうか。体液には青酸やヨードを含む不快な臭いがあるそうで、矢の毒にも使われたことが書いてある。つぶさなければ問題ないのだろうが、気を付けたい奴らであることに変わりはない。山の水を飲んでいままで支障がなかったが、神経質な私としては今後の山行時水計画が面倒なことになった。同時に本当に大発生するのかどうかを確かめたい気持ちもふつふつと。

ムカデと形態が似ているが、体の節から左右1本の足があるのがムカデで、2本ずつあるのがヤスデなんだそうだ。移動速度はムカデの方が早く、ヤスデは遅いのだそうだ。足が一杯ありすぎて、長いと邪魔になるだけだから短くなった。短いので歩幅が取れなくなったからなのだろうか。気持ち悪いから調べだしたら、なんだかおもしろい連中だと思えるようになってしまった。

9/23日追記

雲取山南東の尾根である七つ石山から奥多摩小屋にかけて2011年に発生という記録を見つけた。これによれば、次回予想2019年となるので、まさに今年遭遇したのはこの記事の子たちだ。この尾根の西側が今回入った青岩谷なのだ。大菩薩峠は1年違いの来年が当たり年なので、多摩川をはさんだ北東側、南西側に1年違いの個体群が存在する事になるのだろうか。多摩川の両岸は笠取山で合流するので、その記録も検索すると、なんと2013年に発生していた。なので雲取山エリア2019年、大菩薩峠エリア2020年、笠取山エリア2021年と少し場所を変えるが3年連続の当たり年となっていた。

10月11日追記

10月10日に大雲取谷から稜線に抜け、七ツ石山まで縦走し、唐松谷林道を下った。意識して行動し、落ち葉の下を少し掘ってみたが、一個体も発見できなかった。高名な先生からの指摘やネットの生体写真や論文から、今回の目撃個体は成虫の前の幼体であろうと思われ、何らかの理由(沢岸の崩壊など)で意志(があれば)に反して沢の水中に没したものと思われる。自発発生なら生きたものが居てもよいはずだがほとんどが死体で、数匹動くものもあったがその動きが非常に緩慢で文字通り虫の息の状態であろうと思われた。また、生息域においても満遍なく生息している事を想像していたが、生息域内であっても粗密エリアがあろうことも想像できるが、今回歩いたエリアは広く、沢筋も藪の中も尾根道も、以前発生報告のあるエリアも含んでいるがまったく見かけなかった。見かけた記録も登山者の記録であり、どの程度が大発生であるのかを判断しにくく、素人であれば私のように狭い範囲で多く見かけたことを、本来の大発生ではないが「大発生」と感じてしまう事もある。2021年に関しては断言はできないが、少なくも9/23追記の雲取山エリアの発生に関しては2019には記録されていないし、自ら歩いても発見できなかった。

したがって、素人の結論としては、秩父・多摩・大菩薩エリアのキシャヤスデの発生は来年(2020年)の秋であろうと考える。気持ち悪くて嫌だったが、なんとなく愛着のような感情が芽生えてきたので、まだ足を踏み入れていない笠取山・雁峠・雁坂峠付近の秋山を来年(2020年)歩いてみようと考えている。

お願い

若しキシャヤスデを見かけたら、その場所をこのブログに連絡いただければ幸いです。最新記事にコメントお願いいたします。