新緑のこもれび

日和田山や奥武蔵、時に遠い山をあるいた足跡

ナラ枯れが迫ってきた

2023年7月24日 快晴

蝉の声が聞きたくて久々に早朝出かけた。4時30分に自転車で出発し、高指山を経由して登山口に5時15分着。すっかり夜が明けていた。夜明け前の薄暗がりならばヒグラシが鳴くし、昼間になればミンミン蝉やにーにー蝉が鳴くのだが、朝寝坊なのか全く聞く事が出来なかった。代わって夏なのに鶯が鳴いていた。

 

日の出からちょっと後の眺めIMG_1065

 

最近呼ばれているような気がする御前山、手前の森の褐色は「ナラ枯れIMG_1066

 

こうしてみると結構多い。日和田山の前山も数年前から始まっている。同時に松も枯れているし、山桜も枯れ始めている。それぞれ原因(害虫やカビ)は異なるが、いずれも大きな木が被害に遭っているので、この数年で日和田山の景観、日和田山からの景観も大きく変わるかもしれない。

 

朝の涼しい森、大木の恩恵も大きいのだろうIMG_1067

 

ギボウシがまだ咲いていたIMG_1073

 

ナラ枯れカシノナガキクイムシが病原菌である「ナラ菌」を増殖させることで水の吸い上げる機能を阻害して枯らすらしい。その被害はといえば、多くのHPに「木が枯れる」とある。これは木にとっての被害。枯れると何が困るのかの人に対する被害はほとんどのHPに書いていないので、大変わかりにくい。やっと見つけたのは「森林景観の悪化、木材資源の減少等が懸念されます」(東村山市HPより)との事。森林景観の悪化はまあなんとかわかるけれど、木材資源の減少というのはよくわからない。もともと薪などで使われなくなって大木化したブナ・ナラ類がカシノナガキクイムシに狙われることによって起きているようなので、人に代わってキクイムシが大木を倒し、森の新陳代謝を担っているかもしれない。森にとって本当に被害なのだろうかと思ってしまう。シイタケの原木や薪には大木は使用しないので、木材資源としての大木の利用が本当にあるのだろうか。人家近くや登山道脇なら木が倒れて被害が出る可能性もあるが、人の生活にあまり関わらないエリアであれば、景観が損なわれるのは個人的には残念ではあるが(俯瞰しなければ通常はわからないけれど)、自然に任せても宜しいのではないか。そう、ナラ枯れも自然の一部じゃないのか? などと思ってしまう。

長い間薪や炭としての燃料供給源だった雑木林、昭和の初めの燃料革命で石炭、石油、ガスに押されてその使命を終えて、現在の雑木林が残った。燃料革命がなければ日本の雑木林ははげ山になっていた。化石燃料が守ってくれた広大な雑木林。少しぐらいキクイムシとナラ菌におすそ分けしたって良いのではないでしょうか。山持たざる者の感想